世界的にみると日本人は、歯並びの悪さを気にしないと言われてきました。予防意識も低く、歯科治療の後進国、と不名誉な言われ方をすることもあります。
さて、かかりつけやご近所の歯科医院を思い出してみてください。診療科目に審美歯科をかかげる歯科医院が目につくようになったり、矯正治療をしている歯科医院が増えたりしたように感じませんか?
日本人の歯に対する意識が変わってきたのではないかという淡い期待をしながら、今回は、見た目では分かりにくい噛み合わせの不具合となるケースをご紹介します。
○過蓋咬合(ディープバイト)
通常より、咬み合わせが深くなっているのが特徴です。前歯を例にとると、通常、上の歯が2~3mm程度下の歯に覆いかぶさるようになります。過蓋咬合ではこれが深くなり、下の歯が見えなくなるほどかみ合わせが深い人もいます。
過蓋咬合はあごに負担が大きく、顎関節症の原因となりかねません。深すぎるかみ合わせは、口の中を傷つけ、口内炎などの原因となることもあります。
○正中離開・空隙歯列
空隙歯列は、歯と歯の間が広くなっているもので、そのうち、前歯の真ん中が空いているものを正中離開と呼びます。これは、歯列や歯の大きさなどがきれいにそろっていても、咬み合わせの不具合となり、矯正の対象となり得ます。
周囲から、しゃべっていることを聞き取りにくいと言われる可能性があります。
○切端咬合
過蓋咬合の逆で、歯の先端が接している状態です。一見すると、歯がきれいに並び、理想の歯並びのように見えることもあります。しかし、咬み合わせが浅いため、歯の先端にかかる負担が大きく、歯の損傷につながることがあります。
○開咬(オープンバイト)
これは、咬んでいるのに歯が開いている状態。分かりやすい状態ならば、奥歯は咬み合っているのに、前がぽっかり空いてしまいます。おしゃぶりの影響が指摘されることもありますが、先天的な原因のものもあります。前歯で咬み切ることができず、食べづらくなります。
ここにあげた歯列の不具合は、一見すると歯列がきれいに見えるときもあり、見過ごされがちです。しかし、放置していると思わぬ代償を払うことになる可能性もあります。よって、歯並びの乱れを指摘されたことがなくても、気になることがあったら歯科医院を受診することが大切です。